(更新: )

放課後等デイサービスの利用料はいくら?負担上限月額4,600円と37,200円の境目

放課後等デイサービスの利用料はいくら?負担上限月額4,600円と37,200円の境目

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれる場合があります。


「放課後等デイサービスって、毎月いくらかかるの?」
「同じ回数使っているのに、うちだけ負担が大きい気がする…」

放課後等デイサービス(放デイ)の自己負担額は、利用回数ではなく世帯の所得で決まります。そして多くの家庭にとっての分かれ目が、月4,600円月37,200円かという区分です。

この差は月32,600円、年間にすると約39万円。手当が1つ止まるのと同じくらいのインパクトがあります。

ところがこの境目になる「市町村民税所得割28万円」は、誤解されやすい数字です。県民税を足して計算してしまったり、ふるさと納税で下げられると思い込んでいたり——実際には、どちらも正しくありません。

この記事では、負担上限月額のしくみと、28万円ラインの正確な計算方法・確認手順をまとめます。


放デイの自己負担は4つの区分で決まる

放課後等デイサービスや児童発達支援などの障害児通所支援は、費用の1割が自己負担ですが、世帯の所得に応じた上限月額が設けられています。

区分 世帯の状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満) 4,600円
一般2 上記以外 37,200円

こども家庭庁の資料では、一般1(4,600円)の対象を「収入が概ね890万円以下の世帯」と説明しています。ただしこれはあくまで片働きのモデル世帯を想定した目安で、共働きで社会保険料を2人分払っている世帯などには、そのまま当てはまりません。年収の目安ではなく、実際の所得割額で判断することが大切です。

なお、この自己負担とは別に、おやつ代・教材費・行事費・送迎の実費などが事業所ごとにかかる場合があります。上限月額に含まれない費用なので、契約前に確認しておきましょう。


「上限月額」なので、使うほど1回あたりは安くなる

4,600円・37,200円という金額は1か月の上限です。1回あたりの料金ではありません。

放デイの1回あたりの費用はおおむね1万円前後で、その1割(約1,000円)が自己負担になります。つまり——

  • 月に3回利用 → 自己負担 約3,000円(上限に届かないのでそのまま)
  • 月に5回利用 → 自己負担 約5,000円 → 上限4,600円で頭打ち
  • 月に20回利用 → 上限4,600円のまま(一般1の場合)

一般1の区分に入っていれば、週5日通っても月4,600円を超えません。「回数を増やすと費用が心配」という不安は、区分さえ確認できれば解消できることが多いです。

逆に一般2(37,200円)の場合は、上限に達するまで利用ごとに負担が増えていきます。この区分の差が家計に効いてくるのは、たくさん利用している家庭ほど大きくなります。

▶ 事業所の選び方はこちら:放課後等デイサービスの選び方|後悔しないための見学チェックリスト付き


28万円ラインの正しい計算方法

ここからが本題です。判定に使うのは「市町村民税所得割額」で、次の3点を正しく押さえる必要があります。

ポイント① 市町村民税「だけ」を見る

住民税は、市町村民税と道府県民税(都民税・県民税)の合計です。標準税率は市町村民税6%・道府県民税4%で、合わせて10%。

判定に使うのは、このうち市町村民税(税率6%)の所得割だけです。県民税は含みません。

ポイント② 政令指定都市は8%ではなく6%で換算する

政令指定都市にお住まいの場合は注意が必要です。平成30年度から税源移譲により、政令市では市民税8%・道府県民税2%という配分になっています。

そのため納税通知書の市民税所得割額をそのまま使うと過大になります。判定では標準税率6%で計算した額に換算します(通知書の額 × 3/4 が目安)。

ポイント③ 住宅ローン控除・ふるさと納税は「差し引く前」の額

所得割額は、住宅借入金等特別税額控除と寄附金税額控除(ふるさと納税)を適用する前の金額で判定します。これらの税額控除で実際の納税額が下がっていても、判定額は下がりません。


誤解①|県民税を足して計算してしまう

いちばん多い間違いが、住民税の10%で計算してしまうケースです。

たとえば課税所得が280万円の場合——

  • 誤: 280万円 × 10% = 28万円 → 「ラインぎりぎり、または超えている」
  • 正: 280万円 × 6% = 16.8万円 → 余裕で一般1(4,600円)の範囲

10%で計算すると、実際より1.6倍以上も厳しく見積もることになります。「うちは超えているはず」と思い込んで、受けられる区分を確認していない家庭は少なくありません。


誤解②|ふるさと納税で下げられると思っている

ふるさと納税は税額控除——つまり、計算し終わった税額から差し引くしくみです。所得そのものを減らすわけではありません。

そして放デイの判定では、この寄附金税額控除を足し戻してから判定します。したがって、いくらふるさと納税をしても28万円ラインは1円も下がりません。住宅ローン控除も同じ扱いです。

一方で、所得控除にあたるものは判定額を下げます。

下がるもの(所得控除) 下がらないもの(税額控除)
障害者控除・特別障害者控除 ふるさと納税(寄附金税額控除)
iDeCo・小規模企業共済等掛金控除 住宅ローン控除
社会保険料控除 配当控除
生命保険料控除・医療費控除

特に見落としがちなのが障害者控除です。療育手帳や身体障害者手帳をお持ちのお子さんを扶養している場合、住民税で26万円(特別障害者は30万円、同居特別障害者は53万円)の所得控除が使えます。年末調整や確定申告で申告していないと、所得割額が本来より高いまま判定されてしまいます。

▶ 障害者控除の詳細:【知らないと損!】障害児を育てている方は「障害者控除」で節税できます!


誤解③|世帯の範囲を夫婦だけだと思っている

判定に使う「世帯」の範囲は、年齢によって異なります。

対象者 世帯の範囲
18歳未満(障害児) 保護者の属する住民基本台帳上の世帯
18歳以上(障害者) 本人および配偶者

つまり障害児の場合、住民票が同じ世帯になっている人はすべて対象です。祖父母と同居していて住民票も同一世帯なら、祖父母の所得割額も合算されます。

同居していても世帯分離をしていれば対象外になります。二世帯住宅などで区分が変わってしまう場合は、世帯分離が選択肢になることもあるので、市区町村の窓口に相談してみてください。

なお、単身赴任などで住民票が別になっていても、生計が同一なら同一世帯として判定される取り扱いをしている自治体もあります。この点は自治体ごとに運用が異なるため、必ず窓口で確認してください。


わが家の所得割額を確認する手順

推計で悩むより、実額を見るのが確実です。手順は3つだけです。

  1. 住民税決定通知書を用意する
    会社員なら毎年6月ごろに勤務先から配られる「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定通知書」。自営業なら6月ごろ市区町村から届く納税通知書です。市区町村の窓口で課税証明書を取得しても確認できます。
  2. 「市民税(市町村民税)」欄の所得割額を読む
    県民税・都民税の欄は使いません。政令指定都市の場合は、その額に3/4を掛けて6%相当に換算します。
  3. 同一世帯の対象者全員分を合計する
    夫婦、そして住民票が同一世帯の祖父母などがいればその分も足します。合計が280,000円未満なら一般1(4,600円)です。

判定に使われるのは前年の所得で、区分の切り替わりは毎年7月です(受給者証の有効期間も同じ区切りになっていることが多いです)。前年に収入が大きく変わった場合は、翌年7月から区分が変わることになります。


28万円を少し超えそうなときにできること

合計してみて「あと数万円で超えてしまう」という場合、所得控除を積むことで区分を維持できる可能性があります。

所得割は6%なので、所得控除を10万円積むと、所得割額は6,000円下がります。逆算すると、所得割額を3万円下げたければ、所得控除を50万円積む必要があるということです。

手段 年間の所得控除額の目安 所得割の下がり幅
障害者控除の申告もれを解消 26万〜53万円 約1.6万〜3.2万円
iDeCo(会社員・企業年金なし) 年27.6万円まで 約1.7万円
iDeCo を夫婦2人で 年55.2万円まで 約3.3万円
小規模企業共済(個人事業主) 年84万円まで 約5.0万円
生命保険料控除(住民税の上限) 1人あたり7万円 約0.4万円

年間39万円の差を、数万円の所得控除で守れるなら費用対効果は高いといえます。特にiDeCoや小規模企業共済は支出ではなく自分の資産として積み立てられるため、単純な節税より有利です。

ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。家計の余力を確認したうえで判断してください。

また、副業をしている場合は副業所得が所得割を押し上げます。こちらもあわせて確認してください。

▶ 副業と所得制限の関係:障害児の親が副業したら手当は止まる?所得制限と副業収入の関係を解説


上限額を超えて払ったときの「高額障害児通所給付費」

複数のサービスを併用していると、上限月額を超えて負担してしまうことがあります。たとえば——

  • 放課後等デイサービスと児童発達支援を、別々の事業所で利用している
  • きょうだいで複数の子がサービスを利用している
  • 障害児通所支援と、障害福祉サービス(居宅介護など)を併用している

このような場合、世帯としての負担が上限を超えた分は高額障害児通所給付費として払い戻しを受けられます。

ただし自動では戻ってきません。申請が必要な自治体がほとんどなので、複数サービスを使っている家庭は、市区町村の窓口に「上限額管理」と「高額障害児通所給付費」について確認してください。

また、複数事業所を利用する場合は上限額管理事業所を決める手続きがあり、これを行っておくと超過分をそもそも支払わずに済みます。


よくある質問

Q. 放デイの利用料は、利用回数ではなく世帯の所得で変わるのですか?

費用の1割が自己負担ですが、世帯の所得に応じた上限月額があります。一般1(市町村民税所得割28万円未満)なら月4,600円が上限なので、週5日通っても4,600円を超えません。ただし、おやつ代や教材費などの実費は上限の対象外で、別途かかります。

Q. 市町村民税所得割額はどこで確認できますか?

会社員なら6月ごろに配られる住民税決定通知書、自営業なら市区町村から届く納税通知書で確認できます。市区町村の窓口で課税証明書を取っても確認可能です。見るのは「市民税(市町村民税)」欄の所得割額で、県民税・都民税は含めません。

Q. ふるさと納税をすれば、負担区分は下がりますか?

下がりません。判定では寄附金税額控除と住宅ローン控除を差し引く前の所得割額を使うためです。区分を下げたい場合は、iDeCo・小規模企業共済・障害者控除など、所得控除にあたるものを活用してください。

Q. 祖父母と同居していると、負担額は上がりますか?

住民票が同一世帯になっている場合は、祖父母の所得割額も合算されます。同居していても世帯分離をしていれば対象外です。ご家庭の状況によっては世帯分離が選択肢になる場合もあるので、市区町村の窓口に相談してみてください。

Q. 区分が変わるのはいつからですか?

前年の所得にもとづいて判定され、毎年7月に切り替わるのが一般的です。収入が下がった場合も反映は翌年になります。ただし運用は自治体によって異なる場合があるため、詳しくはお住まいの窓口でご確認ください。


まとめ

  • 放デイの自己負担は4,600円か37,200円が分かれ目。差は年間約39万円
  • 判定は市町村民税の所得割だけ(税率6%)。県民税は含めない
  • 政令指定都市は市民税8%なので、6%相当に換算して判定する
  • ふるさと納税・住宅ローン控除では下がらない。効くのはiDeCoや障害者控除などの所得控除
  • 世帯の範囲は住民基本台帳上の世帯。同居の祖父母も合算対象になる
  • 確認は住民税決定通知書の「市民税」所得割額を世帯分合計するだけ

「うちは所得が高いから37,200円だろう」と思い込んでいる家庭ほど、実際に計算すると一般1の範囲だった、ということがあります。判定のしくみは複雑ですが、確認そのものは通知書1枚で済みます。ぜひ一度、実額でチェックしてみてください。

▶ 所得制限全般の考え方:障害児支援が受けられる「ちょうどいい所得」とは?

※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。

目的から探す