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株やNISAの利益で障害児の手当は止まる?確定申告が招く所得制限の落とし穴

株やNISAの利益で障害児の手当は止まる?確定申告が招く所得制限の落とし穴

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれる場合があります。


「親なきあと」に備えて、NISAや株式投資で資産形成をしている障害児家庭は増えています。でも、こんな不安を持ったことはありませんか。

「株で利益が出たら、特別児童扶養手当は止まってしまうの?」
「NISAなら非課税だから関係ない?」

結論を先にお伝えすると、扱いは口座の種類と「確定申告をするかどうか」で決まります。同じ利益額でも、申告のしかた一つで手当が止まったり止まらなかったりするのです。

そして、いちばん怖いのが「数万円の還付を受けるつもりで確定申告したら、数十万円の手当が消えた」という事故。これは制度を知っていれば防げます。

この記事では、株の利益と所得制限の関係を、口座別の一覧と判断の手順に整理して解説します。


結論|口座の種類と申告の有無で決まる

株式の売却益や配当が所得制限の判定に入るかどうかは、次のとおりです。

口座・申告の状況 所得制限の判定に
NISA口座 非課税・申告不要 → 入らない
特定口座(源泉徴収あり)+申告しない 入らない
特定口座(源泉徴収あり)+確定申告した 入る
特定口座(源泉徴収なし) 原則として申告が必要 → 入る
一般口座 原則として申告が必要 → 入る

ポイントは、利益が出たかどうかではなく、その利益を確定申告に含めたかどうかで決まるということ。同じ100万円の利益でも、申告しなければ判定に乗らず、申告すれば乗ります。

これは、手当の所得判定が「合計所得金額」をもとに行われるためです。特定口座(源泉徴収あり)で申告不要制度を選んだ利益は、この合計所得金額に含まれません。


NISAは完全に対象外

NISA口座での売却益・配当は非課税で、そもそも確定申告の対象になりません。したがって、いくら利益が出ても——

  • 特別児童扶養手当・障害児福祉手当の所得制限に影響しない
  • 放課後等デイサービスの負担上限(市町村民税所得割)にも影響しない
  • 住民税・所得税もかからない

障害児家庭が資産形成をするうえで、NISAが最初の選択肢になる理由はここにあります。手当を受けながら、将来に向けた備えを並行して進められるからです。

ただし注意点として、NISAでは損失が出ても損益通算や繰越控除ができません。他の口座の利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりすることはできない点は理解しておきましょう。

▶ 手当を運用に回すという考え方:特別児童扶養手当を新NISAで運用したら?S&P500で15年積み立てるシミュレーション

※投資には元本割れのリスクがあります。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


特定口座(源泉徴収あり)が最も安全な理由

NISAの非課税枠を超えて投資する場合、口座の選び方が重要になります。

特定口座(源泉徴収あり)は、証券会社が利益から税金(20.315%)を自動的に差し引いて納税まで済ませてくれる口座です。そのため確定申告をしなくてよい——これが「申告不要制度」です。

申告しなければ、その利益は合計所得金額に含まれません。つまり手当の所得制限にも、放デイの負担区分にも影響しないということです。

一方、一般口座特定口座(源泉徴収なし)を選んでいると、利益が出たときに原則として確定申告が必要になります。申告すれば当然、その所得は判定に乗ります。

手当を受けている家庭は、証券口座を「特定口座(源泉徴収あり)」にしておく——これが最もシンプルで確実な対策です。すでに別の口座区分になっている場合は、証券会社の手続きで変更できることが多いので確認してみてください。


最大の落とし穴|確定申告した瞬間に所得に乗る

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。

特定口座(源泉徴収あり)にしていても、自分から確定申告に含めてしまうと、その利益は合計所得金額に算入されます。そして「申告したほうが得」に見える場面が、実はいくつもあるのです。

申告する動機 取り戻せる金額の目安 リスク
複数口座の損益通算 損失額 × 20.315% 所得が増えて
手当が全額停止
損失の繰越控除(3年間) 将来の利益 × 20.315%
配当の配当控除 配当額の5〜10%程度

たとえば、A証券で50万円の損失、B証券で50万円の利益が出たとします。損益通算すれば約10万円の税金が還付されます。「申告しない手はない」と思いますよね。

ところが、この申告によって合計所得金額が増え、所得制限のラインを超えてしまったら——特別児童扶養手当1級なら年間約70万円が消えます。10万円取り戻すために70万円を失う計算です。

配当控除も同じ構造です。数万円の還付のために申告した結果、手当が止まるケースがあります。

とくに損益通算は「損をした年」に行うものなので、損をしたうえに手当まで失うという最悪の結果になりかねません。手当を受けている家庭では、申告する前に必ず所得制限のラインを確認することを習慣にしてください。


「住民税だけ申告不要」の裏技はもう使えない

かつては、所得税では申告して還付を受けつつ、住民税では申告不要を選ぶという方法がありました。手当や保険料の判定は住民税の申告内容をもとに行われることが多いため、これで「還付は受けつつ判定には乗せない」ことができたのです。

しかし令和6年度の住民税(令和5年分の所得)から、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました

つまり現在は、所得税の確定申告に含めた時点で、住民税にも自動的に反映されます。「所得税だけ申告して手当は守る」という使い分けは、もうできません。

古い情報を紹介している解説記事もまだ残っているため、この点は特に注意してください。


影響するのは手当だけではない

確定申告に株の利益を含めると、合計所得金額や住民税の所得割額が上がります。これが影響する範囲は、手当だけではありません。

影響を受けるもの 内容
特別児童扶養手当・障害児福祉手当 所得制限を超えると全額停止
放課後等デイサービス等の負担上限 所得割28万円以上で4,600円→37,200円へ
自立支援医療(育成医療) 負担上限額の区分が上がる
国民健康保険料・後期高齢者医療 保険料が上がる
自治体独自の医療費助成・福祉手当 所得制限がある制度は対象外になることも
保育料・就学援助など 区分が上がる場合がある

障害児家庭は所得で判定される制度を複数利用していることが多いため、1回の申告が連鎖的に効いてしまうのが特徴です。「税金の話」だけで判断しないことが大切です。


申告すべきか判断する3ステップ

それでも申告したほうが得なケースはあります。判断は次の順番で行ってください。

STEP1 今の所得と限度額の距離を確認する

まず、株の利益を足す前の所得が、限度額までどれくらい余裕があるかを確認します。扶養親族2人の場合、特別児童扶養手当の限度額は受給資格者本人で5,356,000円、配偶者・扶養義務者で6,749,000円です。

余裕が大きく、株の利益を足しても届かないなら、申告して問題ありません。

STEP2 申告で戻る金額を計算する

損益通算なら「相殺できる損失額 × 20.315%」、配当控除なら配当額の5〜10%程度が目安です。まずはこの金額をはっきりさせます。

STEP3 失う可能性のある金額と比べる

限度額を超えてしまう場合、失う金額は次のとおりです。

  • 特別児童扶養手当1級…年間約70万円(月58,450円)
  • 特別児童扶養手当2級…年間約47万円(月38,930円)
  • 障害児福祉手当…年間約20万円(月16,560円)
  • 放課後等デイの負担増…年間約39万円

STEP2 の金額が STEP3 を上回るなら申告、下回るなら申告しない。判断はこれだけです。多くの場合、手当のほうが桁が大きいため、申告しない選択になります。

▶ 限度額の詳細と、誰の所得で判定されるか:障害児支援が受けられる「ちょうどいい所得」とは?


よくある質問

Q. NISAの利益は手当の所得制限に影響しますか?

影響しません。NISA口座での売却益・配当は非課税で確定申告の対象外のため、合計所得金額にも住民税の所得割にも含まれません。特別児童扶養手当や放課後等デイの負担区分の判定にも入らないため、手当を受けながら安心して利用できます。

Q. 特定口座なら確定申告しなくていいのですか?

源泉徴収ありを選んでいれば、証券会社が納税まで済ませてくれるため申告は不要です(申告不要制度)。源泉徴収なしを選んでいる場合は原則として申告が必要になり、その所得は判定に乗ります。手当を受けている家庭は「源泉徴収あり」にしておくのが安全です。

Q. 損益通算のために確定申告したら、手当は止まりますか?

申告によって所得が限度額を超えれば止まります。損益通算で戻る税金は「損失額×20.315%」ですが、特別児童扶養手当1級が止まると年間約70万円を失います。申告する前に、戻る金額と失う金額を必ず比べてください。

Q. 所得税だけ申告して、住民税は申告不要にできますか?

できません。かつては所得税と住民税で異なる課税方式を選べましたが、令和6年度の住民税(令和5年分の所得)から一致させることが必要になりました。所得税で申告すれば住民税にも反映されるため、手当や保険料の判定にも影響します。

Q. すでに申告してしまった場合はどうなりますか?

申告期限内であれば訂正申告、期限後であれば更正の請求などで対応できる場合があります。ただし手続きの可否や期限は状況によって異なるため、早めに税務署に相談してください。手当への影響については、あわせて市区町村の窓口にも確認しましょう。


まとめ

  • 株の利益が所得制限に入るかは、口座の種類と確定申告の有無で決まる
  • NISAは非課税・申告不要で、手当にも放デイの区分にも影響しない
  • 特定口座(源泉徴収あり)+申告しないなら判定に乗らない。手当を受けている家庭の基本形
  • 損益通算・配当控除のために申告した瞬間に所得へ算入される。数万円の還付で数十万円の手当を失うことがある
  • 「所得税だけ申告」の使い分けは令和6年度の住民税からできなくなった

資産形成そのものは、障害のある子の将来を支える大切な備えです。ただ、手当や福祉サービスの所得制限とは同じテーブルの上で考える必要があります。

まずはNISAの枠を優先し、それを超える分は特定口座(源泉徴収あり)で申告しない。この形を基本にしておけば、大きな事故は防げます。そのうえで「申告したほうが得か」を毎年の確定申告前に検討する——この順番がおすすめです。

▶ 確定申告の基本手順:障害児がいる家庭の確定申告のやり方|障害者控除の書き方と必要書類

▶ 副業がある場合の所得制限:障害児の親が副業したら手当は止まる?所得制限と副業収入の関係を解説

※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。個別の税務判断については税務署や税理士にご相談ください。

※投資に関するご注意
本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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