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親なきあとに成年後見制度は必要?障害のある子の財産を守る備えを解説

親なきあとに成年後見制度は必要?障害のある子の財産を守る備えを解説

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれる場合があります。

障害のある子を育てていると、どうしても頭をよぎるのが「自分がいなくなったあと、この子はどうなるんだろう」という不安ではないでしょうか。

この「親なきあと」の備えを調べていくと、必ず出てくるのが成年後見制度です。ただ、いざ調べてみると「使ったほうがいいのか」「いつから考えればいいのか」がはっきりせず、後回しにしてしまいがちなテーマでもあります。

しかも、2026年6月に成年後見制度と遺言制度を見直す改正法が成立し、制度のかたちが今後大きく変わることが決まりました。

この記事では、成年後見制度のしくみと費用、そして「きょうだいに財産管理を任せる」ときに見落とされがちな注意点を、公的機関の情報をもとに整理します。

なお、わが家はまだ成年後見制度を利用したことはありません。この記事は制度の解説であり、個別のご家庭にとっての最適解を示すものではありません。実際の手続きを検討する際は、必ず弁護士・司法書士などの専門家や、お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。


「親なきあと」の不安は、お金と“管理する人”の2つに分かれる

「親なきあと」の準備は、なんとなく一つの大きな不安として語られがちですが、実は性質のちがう2つの問題に分けて考えると整理しやすくなります。

問題 内容 主な備え
①お金が足りるか 親の収入がなくなったあと、生活費をどう確保するか 障害基礎年金、心身障害者扶養共済(しょうがい共済)、貯蓄・保険
②誰が管理するか 本人に判断能力の課題がある場合、お金や契約を誰が管理するか 成年後見制度、家族信託、日常生活自立支援事業、遺言

このうち①は当サイトでも繰り返し扱ってきたテーマです。一方で②の「誰が管理するのか」は、お金を用意するだけでは解決しません。どれだけ財産を残しても、本人がひとりで契約や預金の管理をするのが難しい場合、そのお金を使うための手続きが必要になるからです。

成年後見制度は、この②に対応するための制度です。


成年後見制度とは?3つの類型のちがい

成年後見制度は、判断能力が十分でない方の財産や権利を守り、意思決定を支援するしくみです。家庭裁判所に申し立てて、本人を支援する人(後見人・保佐人・補助人)を選んでもらいます。

現行の法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型に分かれています。

類型 対象となる方の状態(目安) 支援する人ができること
補助 重要な手続き・契約の中に、ひとりで決めることが心配なものがある 家庭裁判所が定めた特定の行為について同意・取消しなど
保佐 重要な手続き・契約を、ひとりで決めることが心配 借金や相続の承認など、法律で定められた行為について対応
後見 多くの手続き・契約を、ひとりで決めることがむずかしい 原則としてすべての法律行為を代理・同意

※出典:厚生労働省「成年後見はやわかり」

このほか、本人に十分な判断能力があるうちに「将来この人にお願いしたい」と契約しておく任意後見制度もあります。ただし、生まれつき障害があるお子さんの場合は、契約に必要な判断能力の面から利用が難しいことがあります。


メリットとデメリット

成年後見制度は「使えば安心」という単純な制度ではありません。良い面と、使いにくい面の両方があります。

メリット デメリット・注意点
本人名義の預金の引き出しや契約が、正式な代理人としてできるようになる いったん始めると、原則として本人が亡くなるまで続く
不利な契約を取り消せるなど、悪質商法から本人を守れる 専門職が選ばれた場合、報酬が継続的に発生する
遺産分割協議や施設の入所契約など、本人に代わって手続きができる 家族が後見人を希望しても、家庭裁判所が第三者を選ぶことがある
家庭裁判所の監督があり、財産の使い込みを防ぎやすい 家庭裁判所への定期的な報告など、事務的な負担がある

特に押さえておきたいのが「必要になったときだけ一時的に使う」ということが現行制度では想定されていない点です。遺産分割のために後見人をつけたら、その後もずっと続く——この使いにくさが、制度改正の議論につながってきました(詳しくは後述)。


費用はいくらかかる?申立費用と後見人の報酬

申立てにかかる費用

家庭裁判所への申立てに必要な費用は、次のとおりです。

  • 申立手数料:収入印紙800円
  • 登記手数料:収入印紙2,600円
  • 連絡用の郵便切手(金額は家庭裁判所により異なります)
  • 医師の診断書の作成費用、住民票・戸籍謄本などの取得費用
  • 本人の判断能力について鑑定が必要と判断された場合:10万円〜20万円程度(ほとんどの場合10万円以下とされています)

※出典:裁判所「後見開始」、厚生労働省「成年後見はやわかり」

後見人の報酬

後見人への報酬は、家庭裁判所が本人の資力などを踏まえて個別に決定します。金額が法律で一律に決まっているわけではありません。

参考として、東京家庭裁判所が公表している「めやす」では、通常の後見事務を行った場合の基本報酬を月額2万円としています。管理する財産が多い場合は増額され、1,000万円超〜5,000万円以下で月額3万〜4万円、5,000万円超で月額5万〜6万円が目安とされています。

💡ポイント
報酬は本人の財産から支払われます。家族が後見人になった場合は報酬を受け取らないこともありますが、弁護士・司法書士などの専門職が選ばれた場合は、原則として毎年発生し続けます。

※このめやすは東京家庭裁判所が示しているもので、金額や運用は家庭裁判所によって異なります。実際の金額は、申立て先の家庭裁判所にご確認ください。


わが子の場合、いつ検討すればいい?

「障害があるなら、いずれ必ず成年後見制度を使うもの」と思われがちですが、実際には今すぐ必要とは限りません。制度は「必要になる場面が来たとき」に検討するのが基本です。

検討が必要になりやすい場面

  • 相続が発生したとき:親が亡くなり、判断能力に課題のある本人が相続人になると、遺産分割協議に参加できず、後見人の選任が必要になることがあります
  • 本人名義でまとまった財産を管理する必要が出たとき:本人名義の預貯金や不動産の手続きが必要になった場合
  • 施設入所や不動産の売却など、大きな契約が必要になったとき
  • 悪質商法などの被害が心配なとき:契約の取消権が有効に働く場面です

すぐには急がなくてよい場合

お子さんがまだ未成年で、親が親権者として財産や契約を管理できている段階では、成年後見制度の出番はまだ先です。また、日常のお金の管理に少し不安がある程度であれば、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」という、より軽い支援を先に検討する方法もあります。福祉サービスの利用手続きの援助や、日常的な金銭管理を有料(多くの自治体で1回あたり数百円〜千円台)で手伝ってもらえる仕組みです。

金額や利用条件は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の社会福祉協議会にご確認ください。


きょうだいに財産管理を任せるときの3つの注意点

「親なきあとは、障害のないきょうだいに任せればいい」と考えるご家庭は少なくありません。ただ、その場合こそ、事前に整理しておきたい点があります。

①本人名義に、必要以上の財産を持たせない

「この子のために少しでも多く残したい」という気持ちから、障害のあるお子さん本人の名義に財産を集めるケースがあります。しかし、本人名義の財産が大きくなるほど、その管理のために成年後見制度を使わざるを得なくなるという面があります。専門職の後見人が選ばれた場合、その報酬は本人の財産から継続して支払われることになります。

本人に残す分と、支える家族に託す分のバランスをどう取るかは、ご家庭の状況によって答えが変わります。ここは特に専門家と相談したいポイントです。

②親は遺言を残しておく

「親なきあと」対策として、もっとも取りかかりやすいのが遺言です。

遺言がないまま親が亡くなると、相続人全員での遺産分割協議が必要になります。このとき、障害のあるお子さんに十分な判断能力がないと協議に参加できず、遺産分割のためだけに成年後見人を選任しなければならない——という状況が起こり得ます。

あらかじめ遺言で財産の分け方を決めておけば、この遺産分割協議自体が不要になり、望まないタイミングで後見制度を使う事態を避けやすくなります。

③きょうだいが先に亡くなる可能性も考えておく

見落とされがちなのが、財産管理を託したきょうだい自身が先に亡くなった場合です。

きょうだい名義になっている財産は、きょうだいの相続人(配偶者やその子ども)に引き継がれます。「障害のある子のために預かっていたお金」という事情は、名義の上では区別されません。結果として、本来お子さんのために使われるはずだった財産が、支援に関わらない方に渡ってしまう可能性があります。

これを防ぐには、託す側のきょうだいにも遺言を用意してもらう、あるいは家族信託などの仕組みを使って「誰のためのお金か」を法的にはっきりさせておく方法が考えられます。

⚠️ここで挙げたのは一般的な考え方です。どの方法が適しているかは、ご家族の人数・関係性・財産の内容によって大きく変わります。判断の前に必ず弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。


2026年成立の法改正で、制度はどう変わる?

ここまで見てきたとおり、現行の成年後見制度には「一度始めるとやめられない」「本人にとって過剰な支援になることがある」といった課題が指摘されてきました。

これを受けて、令和8年(2026年)6月17日に「民法等の一部を改正する法律」が成立し、同月24日に公布されました。成年後見制度と遺言制度を見直す内容です。

改正の主なポイント

  • 後見・保佐の制度を廃止し、補助の制度に一元化する。本人にとって必要な範囲での利用を可能にする
  • 遺言制度について、電子データ等で作成し法務局で保管する「保管証書遺言」を創設する

いつから変わる?

対象 施行時期
成年後見制度の見直し 公布日から2年6か月以内で政令で定める日
遺言制度の見直し(押印の任意化など) 公布日から1年以内で政令で定める日
遺言制度の見直し(保管証書遺言の創設など) 公布日から3年以内で政令で定める日

※出典:法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」

つまり、成年後見制度の新しいかたちが実際に動き出すのは、2028年末までのどこかということになります。今すぐ手続きを急ぐ必要がないご家庭であれば、改正後の制度の中身を見てから判断するという選択肢もあります。

一方で、遺言の準備は改正を待つ理由がないテーマです。制度がどう変わっても、親が意思をはっきり残しておくことの価値は変わりません。


親が元気なうちにできること

成年後見制度そのものは「必要になったとき」の制度ですが、その前にできる準備はあります。優先度の高いものから並べました。

  1. 遺言を用意する:望まないタイミングで後見制度を使う事態を避けやすくなります
  2. 本人名義と親名義の財産を整理する:本人に集めすぎていないか確認します
  3. お金の流れを書き出しておく:年金・手当の振込口座、保険、契約中のサービスなど、支える人が困らないよう一覧にしておきます
  4. 本人の「日常の様子」を記録に残す:関わる人が変わっても支援が途切れないよう、支援の引き継ぎ資料をつくっておきます
  5. 相談先を確保しておく:地域の基幹相談支援センター、社会福祉協議会、成年後見センターなど、いざというときの窓口を知っておきます

また、親なきあとの「お金」の側については、心身障害者扶養共済制度(しょうがい共済)という公的な備えもあります。あわせて確認しておくと、全体像がつかみやすくなります。

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よくある質問

Q. 障害があると、必ず成年後見制度を使うことになりますか?

いいえ、必ずしもそうではありません。成年後見制度は「本人に代わって契約や財産管理をする必要が生じたとき」に検討する制度です。親が親権者として管理できているうちや、日常の金銭管理に少し支援があれば足りる段階では、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業など、より軽い支援で対応できる場合もあります。

Q. 親やきょうだいが後見人になることはできますか?

家族が後見人の候補者として申立てをすることはできますが、実際に誰を選ぶかを決めるのは家庭裁判所です。財産の額や親族間の意見の状況などによっては、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれることもあります。「家族を候補者にすれば必ずその人が選ばれる」わけではない点に注意が必要です。

Q. 一度始めたら、途中でやめることはできませんか?

現行の制度では、いったん開始すると原則として本人が亡くなるまで続き、「必要な手続きが終わったから終了する」という使い方は想定されていません。この点は課題として指摘されており、2026年6月に成立した改正法では、後見・保佐を廃止して補助に一元化し、本人にとって必要な範囲での利用を可能にする方向で見直されます。施行は公布日から2年6か月以内に政令で定める日とされています。

Q. まず何から始めればいいですか?

成年後見制度の手続きよりも先に、遺言の準備から取りかかることをおすすめします。遺言があれば遺産分割協議が不要になり、望まないタイミングで後見人を選任しなければならない事態を避けやすくなるためです。あわせて、お金の流れと支援の引き継ぎ情報を書き出しておくと、支える人の負担が大きく変わります。


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※制度・法改正に関するご注意
本記事に記載の制度内容・金額は、執筆・更新時点の情報です。成年後見制度は2026年6月に成立した改正法により今後内容が変わる予定で、施行日や詳細は政令等で定められます。費用や運用は家庭裁判所・自治体によっても異なります。最新の情報は必ず公式サイトや窓口でご確認ください。
また、本記事は制度の一般的な解説であり、個別の法律相談に代わるものではありません。実際の手続きの検討にあたっては、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。


※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。

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