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障害児の入浴介助をラクに|浴室の福祉用具と助成される品目まとめ

障害児の入浴介助をラクに|浴室の福祉用具と助成される品目まとめ

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毎日のことなのに、いちばん体力を使う。入浴介助はそういう場面です。

子どもが小さいうちは抱えて浴槽に入れられても、体重が増えるにつれて限界がきます。濡れた浴室で支えるのは、親にとっても危険です。腰を痛めてしまえば、その先の生活すべてに響きます。

この記事では、入浴の負担を軽くする福祉用具と、そのうち制度で助成される品目を整理します。結論を先に言うと、自費で買う前に市区町村の窓口へ相談するのが正解です。買ってしまってからでは対象外になる制度があるからです。

入浴介助のどこがしんどいのかを分解する

「入浴が大変」とひとことで言っても、実際にはいくつもの動作が積み重なっています。どこが大変なのかを分けて考えると、必要な道具がはっきりします。

  • 脱衣所から浴室への移動。濡れた床、段差、狭い動線
  • 洗っているあいだの姿勢の保持。座位が安定しないと、親は片手で支えながら洗うことになる
  • 浴槽をまたぐ動作。転倒のリスクがいちばん高い場面
  • 浴槽の中での姿勢。沈み込んでしまうと目が離せない
  • 抱え上げ。体重が増えるほど、親の腰への負担が跳ね上がる

このうち「姿勢の保持」と「またぐ動作」は、道具で解決できる範囲が広い部分です。逆に「抱え上げ」が限界に近いなら、リフトや住宅改修まで視野に入れる段階かもしれません。

買う前に「制度で手に入らないか」を確認する

浴室で使う福祉用具の多くは、日常生活用具給付等事業の対象になっています。これは障害者総合支援法にもとづく市町村の事業で、必須事業なのでどの市区町村にもあります。

ここで大事なのが順番です。先に買ってしまうと対象外になる制度があります。「安かったから買ってしまった」あとで窓口に行っても、さかのぼって助成されないことがあるのです。

面倒に感じても、「こういう場面で困っているので、使えるものはありますか」と窓口に聞くところから始めてください。窓口は市区町村の障害福祉担当です。

日常生活用具で助成される入浴まわりの品目

ある自治体の種目一覧をもとに、入浴・排泄まわりの代表的な品目を挙げます。金額は「基準額」で、この範囲内で助成が行われます。

品目 基準額 耐用年数 どんなもの・対象の目安
入浴補助用具 90,000円 8年 入浴時の移動・座位の保持・浴槽への入水などを補助するもの。入浴に介助を要する下肢または体幹機能障害者(児)が対象で、障害児は原則3歳以上
入浴担架 82,400円 5年 担架に乗せたままリフト装置で入浴させるもの。入浴に介護を要する下肢・体幹機能障害2級以上(障害児は原則3歳以上)
移動用リフト 159,000円 4年 介助者が移動させるときに使うリフト。下肢・体幹機能障害2級以上(障害児は原則3歳以上)
特殊マット 19,600円 5年 褥瘡の防止や、失禁による汚染・損耗を防ぐもの
体位変換器 15,000円 5年 介助者が体位を変えるときに使うもの
便器 4,450円 8年 手すりを付けられるもの。取替えに住宅改修を伴うものは除く

金額を見て「思ったより手厚い」と感じた方も多いのではないでしょうか。とくに入浴補助用具の9万円は、市販のシャワーチェアやバスボードを何点か揃えられる水準です。

ただし注意点があります。

  • 基準額と自己負担は別。利用者負担は市町村の判断によるとされており、全国一律ではありません。「基準額の1割負担、非課税世帯は負担なし」としている自治体が多く見られます
  • 対象者の要件は「下肢・体幹機能障害」が軸。知的障害や発達障害のみの場合、この区分では対象にならないことがあります
  • 耐用年数の縛りがある。一度給付を受けると、原則としてその年数は次の給付を受けられません
  • 品目も基準額も自治体ごとに違う。ここに挙げた数字は「制度の水準を知るための一例」です

「住宅改修を伴うもの」は別の制度になる

ここが多くの人がつまずくところです。日常生活用具の要綱には、次のような但し書きが付いています。

  • 入浴補助用具:設置に当たり住宅改修を伴うものを除く
  • 便器:取替えに当たり住宅改修を伴うものを除く
  • 移動用リフト:天井走行型その他住宅改修を伴うものを除く

つまり、「置くだけ・付けるだけ」で済むものは日常生活用具、工事が必要なものは住宅改修の制度という切り分けになっています。

浴室に手すりを取り付ける、段差を解消する、扉を引き戸に替える――こうした工事は「居宅生活動作補助用具(住宅改修費)」や、自治体独自の住宅改造費助成の対象です。介護保険の住宅改修は障害児には使えないので、そこも含めて別記事にまとめています。

課題別|どの道具を選べばいいか

洗っているあいだ座っていられない

シャワーチェア(入浴用いす)の出番です。背もたれ・肘掛け・ベルトの有無で安定感がまったく違います。体幹が弱い子ほど、背もたれと肘掛けがあるタイプを選んでください。高さ調節ができると、成長に合わせて長く使えます。

床に直接座るスタイルが合う子には、浴室用のバスチェアやマットという選択肢もあります。日常生活用具の「入浴補助用具」は、こうした座位の保持を助けるものを含みます。

浴槽をまたぐのが危ない

バスボード(浴槽の縁に渡す板)を使うと、いったん座ってから足を入れる動作に変えられます。立ったままの「またぎ」がなくなるので、転倒のリスクが大きく下がります。

浴槽の中で沈み込んでしまう場合は、浴槽内いすすべり止めマットを組み合わせます。

抱え上げがもう限界

体重が増えて持ち上げられない段階になったら、移動用リフトや入浴担架が視野に入ります。基準額はリフトが159,000円、入浴担架が82,400円と大きく、自費でそろえるのは現実的でない価格帯です。だからこそ制度の確認が要ります。

ただし天井走行型など工事を伴うものは日常生活用具の対象外なので、その場合は住宅改修のルートになります。

そもそも姿勢の保持が課題

入浴に限らず日常的に姿勢が崩れるなら、補装具の制度(姿勢保持装置など)も併せて検討する段階かもしれません。日常生活用具とは別の制度で、オーダーメイドに近い作り方をします。

制度の対象外だったときの考え方

相談した結果、要件に当てはまらず対象外ということもあります。とくに知的障害・発達障害のみの場合、入浴補助用具の区分では対象外になりやすいのが実情です。

その場合は市販品で組み立てることになります。優先順位をつけるなら、「転倒のリスクが高い場面」からです。すべり止めマットは数千円から試せますし、バスボードは「またぐ」という動作そのものをなくせるので、効果がはっきりしています。

選ぶときのポイントは3つです。

  • 浴槽・浴室のサイズを測ってから選ぶ。バスボードや浴槽内いすはサイズが合わないと使えません
  • 耐荷重を必ず確認する。子どもの体重が増えていく前提で選びます
  • 成長に合わせて調整できるか。高さ調節ができるものは結果的に安く済みます

バスボードは浴槽の縁に渡して座面をつくる道具です。サイズが合わないと使えないので、浴槽の外寸(幅)と、手すりを付ける向きを確認してから選んでください。耐荷重の表示も必ず見ておきましょう。

よくある質問

Q. 先に買ってしまいました。あとから助成を受けられますか?

制度によっては事前の申請が必要で、購入後では対象にならないことがあります。特に住宅改修は「工事の前に申請」が原則です。すでに購入してしまった場合でも、まずは市区町村の障害福祉担当に事情を伝えて確認してください。次に必要になるものからは、必ず相談を先にする流れに切り替えるのが確実です。

Q. 知的障害・発達障害でも入浴補助用具の対象になりますか?

入浴補助用具の対象者は「入浴に介助を要する下肢または体幹機能障害者(児)」とされていることが多く、身体面の障害が要件の軸になっています。そのため、知的障害や発達障害のみでは対象にならないケースがあります。ただし品目や要件は自治体ごとに違うため、自己判断で諦めず、困っている場面を具体的に伝えて相談してみてください。

Q. 何歳から使えますか?

入浴補助用具・入浴担架・移動用リフトはいずれも「障害児にあっては原則として3歳以上」とされている例が多く見られます。ただしこれも自治体の要綱によります。3歳前後で入浴介助がつらくなってきたら、一度窓口に相談してみる価値があります。

Q. 一度給付を受けたら、買い替えはできませんか?

品目ごとに耐用年数が決められており(入浴補助用具は8年、入浴担架は5年、移動用リフトは4年など)、原則としてその期間は次の給付を受けられません。子どもは体格が大きく変わるので、今の体格だけでなく、数年先を見て選ぶことが大切です。破損した場合や身体の状況が大きく変わった場合の取り扱いは自治体によるため、窓口で確認してください。

まとめ

  • 入浴介助は「移動」「座位の保持」「またぐ」「抱え上げ」に分けて考えると、必要な道具が見える
  • 浴室の福祉用具の多くは日常生活用具の対象。入浴補助用具は基準額90,000円、入浴担架82,400円、移動用リフト159,000円という例がある
  • 買う前に窓口へ。先に買うと対象外になる制度がある
  • 工事を伴うものは住宅改修の制度という切り分けになっている
  • 対象外だった場合は、転倒リスクの高い場面から市販品で埋める

入浴は毎日のことなので、1回あたり数分の負担が減るだけで、年間では大きな差になります。親の体を守ることは、そのまま子どもの生活を守ることにつながります。


※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。日常生活用具の品目・基準額・対象者の要件・利用者負担は、市町村の判断により定められており、お住まいの自治体によって異なります。記事中の金額は制度の水準を知っていただくための一例です。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。

出典
厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」および厚生労働省告示第529号/釜石市「日常生活用具一覧」/福山市「日常生活用具費支給事業」

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